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小型ギャレーType1 製作B
完成した原型を元に、FRP樹脂で小型ギャレーキットシンクの雌型を製作
FRPで雌型を製作する場合は、プリンの容器みたいに抜け勾配があって一方向へスライドするとパカッと抜ける形状の物が作り易いです。
今回は形状的に一発で雌型から抜くことが出来ないので雌型を2分割で製作しないといけません、更にポンプ固定部分は抜け勾配ゼロのパイプ形状なので型から抜けてくれるのかチョッと心配です。
まずは原型にワックスを掛けます、塗って拭き取りを3〜5回繰り返します。
自動車用のワックスでも構わないかも知れませんが、最近は車にはコーティング剤を掛ける人も多いので 固形ワックスを持っていないという場合は専用の 離型ワックス を購入した方が良いでしょう。
離型ワックスを掛けた後に、 PVA という離型剤を塗ります。
抜け勾配が十分取れている場合は離型ワックスのみでも簡単に抜けてくれますが、今回は抜け勾配が厳しいので離型ワックスとPVA離型剤の2段構えでいきます。
PVAが乾燥してからゲルコートを塗っていきます、ゲルコートは刷毛塗りで行なうことが多いようですが、1回塗りでは刷毛目が出無いように塗るのが難しく、刷毛で擦るときに離型剤の膜を破ってしまう事があるのでスプレーガンで塗装しています。
ゲルコート専用ガン はビックリするぐらい高価なので安物の口径が大きなスプレーガンで代用しています。
ゲルコートはとても硬化が早いので、ボディ塗装の感覚で塗っているとガン内部で硬化して大変な事になります。
ゲルコートに硬化剤を入れたら急いで塗装して、直ぐにアセトンでスプレーガンを洗浄しましょう、 ボーッとしていると直ぐにガンが詰まってしまいます。
ゲルコートが乾いたら分割型にするためのフランジ部分を作っていきます。
フランジ面は綺麗な平面だと位置合わせがし難いので、位置合わせ用の凸凹を作っておくとラクです。
ガラスファイバー張り込み前に全ての準備が整っているか確認しましょう、夏場は作業環境が40℃オーバーなので硬化剤を少な目にしても硬化が始まるのがとても早いです。
〜ガラスファイバーあれこれ〜
基本的にファイバーには#○○と数字が記載してありますが、これは1u辺りの重量を表示してあります、数字が大きい方が厚みが出るが曲面や複雑な形状には張り込み難いという感じです。
画像はサーフェースマット#30極薄のガラスマット、結構割高ではありますが 曲面への馴染みは抜群でエア噛みし難いので最初に張り込んでおくと表面が綺麗に仕上がります。
白い紙と一緒に重ねて販売してあるので画像では白っぽく見えますが、サーフェースマット自体はとても薄くてスケスケです。
こちらはガラスクロス#200
十字に編み込んであり引っ張り強度に優れます。
ガラスマットより割高で、#200のみで厚みを出すには積層枚数が多くなりますからガラスマットと併用が良いと思います。
こちらはガラスマット#450
もっともポピュラーなタイプでホームセンターでもよく見掛けますし、価格も最も手頃です。
#450マットを1プライ(1枚張り)で約1mmの厚さになります。
雌型は頑丈に製作した方が良いです、製品サイズ・雌型から製造する製品数量などを考慮して重ねるファイバーの枚数を決めましょう。
まずは、サーフェースマットを張り込んでいきます。
硬化したらフランジ部分を離型剤で処理してから、もう一面も同じ工程で張り込みます。
最後に製品製作時の作業がし易いように木材で土台を作って一緒にガラスマットで張り込みます。
硬化したら原型とメス型を分離します。
隙間に薄いヘラを差し込んでエアーガンでエアーを吹き込みます。
案の定、原型のFRPとPPの接続部は密着していなかったので破壊しながら外れました。
フチを綺麗にカットして表面を調整研磨したら分割メス型の完成です。
給排水口の抜け難さを考慮してパイプ部分は樹脂パテでフタをしました、エアーが逃げないようにしておくとエアーによる離型がやり易いですからね。
平面部分はFRP樹脂の硬化反応熱で緩やかな歪が出ました、原型を石膏などで作れば歪が出難いのかな〜と思いますが、車のFRPボンネットなどを見ると金属原型でコピーした商品でも表面が歪んでいる物も多いので綺麗に平面を作るのは難しいんだと思います。
車のFRP製品でも一流メーカーの高価な物は歪が少なくて、ノンメーカーの格安商品は歪だらけだったりしますので技術力があれば綺麗な製品が作れるのでしょうね。
〜樹脂についてのあれこれ〜
FRP樹脂にはパラフィンというワックス成分が入っているタイプと入っていないタイプがあります、インパラ・ノンパラと呼ばれる事が多く、ホームセンターでよく見掛けるのはインパラタイプが多いかと思います。
インパラは硬化すると表面がサラサラになりますがノンパラは硬化しても表面が少しベトッとしています、ノンパラの場合は硬化後張り重ねる場合でもそのまま張り込めますがインパラの場合はサンドペーパーで 表面を研磨しないと密着が悪いです。
ノンパラの場合はパラフィン溶液という物を一定割合添加することによってインパラに出来ます、積層を重ねる場合はノンパラで重ねて行って最後だけパラフィンを添加してインパラで仕上げるなど工夫するとよいですね。
いよいよ次は製品版の製作となります、欲しい製品に辿り着くまで結構な道のりです。