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アクティラジエターエアー抜きの重要性

アクティ・バモスはラジエターエアー抜きが完璧にできていないのが多い?

知人から”バモスの走行距離10万km近くなったから整備工場でタイミングベルトとウォーターポンプを交換したら、交換後に足元からジョロジョロ水が流れるような音がするんだけどなんでだろう?”と聞かれたので、エア抜きが完全に出来ていないのでは?とアドバイス。

その後、整備した工場へ再度見てもらったらしいが数日後になぜかサーモスタットを交換されて納車、しかしまったく変化なし!

知人が車を持ってきたので見てみると、ラジエーターリザーブタンクに小さなエアがプクプク。。。(よく観察しないと気付かないレベルの泡)

リザーブタンクに鼻を近づけると微妙に燃焼ガスっぽい臭いも…ヘッドガスケット抜けの可能性大!

微妙なガスケット抜けを調べる時は、ガスケットリークテスター という特殊工具を利用してラジエター内のCO2の混入の有無を検査することにより、ヘッドガスケットやシリンダーヘッドの亀裂を点検することができます。

とりあえずヒートランプは点灯してないらしいが、はたして夏を乗り越えられるのか?オーバーヒートしたら補償修理してもらえるのか?大変です。

※その後の気温上昇によりヒートランプが点灯するようになり、結局ヘッドガスケットを交換する結果になりましたが補償修理してもらえず…

もともと軽トラ・箱バン系はラジエーターのエアー抜きがやり難い車が多いですが、新規格になってからのアクティ系は特に難しくなっていると思います。

水温計が無くなり(サーモ・ヒート)ランプになったのも良くないような…

プロでも嫌な作業だと言う方も居られる位ですから、作業に慣れたメーカーに作業を頼むのが確実かと思います、 エアー抜きが不完全でヘッドガスケットを交換したと言う記事も見かけますので同様のトラブルが多いのかも…くれぐれもラジエターエア抜きには御用心下さい!

私がヘッドOHした時もエア抜きは結構大変だったので参考までに少しお話しましょう

ラジエーター液を入れる時にアクティの取扱説明書を確認したら冷却水の規定濃度は50%…って皆さん知ってました? 通常クーラントの濃度20〜30パーセント位で入れることが多いので確認していなければ随分薄い濃度にしてしまう所でしたよ…

ちなみに、アクティバンのサービスマニュアルでは、交換時規定量は分解時6.3L、冷却水交換時4.3L、と書いてありました、分解時というのはシリンダーヘッドやラジエターなど取り外した場合のことかな。

アクティ・バモスにはラジエータのエアー抜き用プラグ(ブリードボルト)が付いています。

アクティエンジンルーム

アクティのエンジン上部のフタを取り外すと

画像の矢印の位置に発見

アクティインマニのエアー抜きプラグ

分かりやすいように画像拡大

インテークマニホールドに冷却水エアー抜き用プラグ(ブリードボルト)が付いています

アクティ冷却水パイプのエアー抜きプラグを上部から見たところ

冷却水通路のパイプにもあります

アクティ冷却水パイプのエアー抜きプラグ(ブリードボルト)を上部から見たところ

アクティ冷却水パイプのエアー抜きプラグを下部から見たところ

アクティ冷却水パイプのエアー抜きプラグ(ブリードボルト)を下部から見たところ

私のアクティ軽キャンパーには、エア抜き用のブリードボルトが合計3箇所

※リヤヒーター装着車の場合はリヤヒーター部分にもブリードボルトが付いています

サービスマニュアルでエア抜きについて確認すると
  • ・ブリードボルトを緩めて冷却水を入れる
  • ・エアが抜けて冷却水があふれてきたらボルトを締める
  • ・ラジエターキャップを仮締めし2分間アイドリング
  • ・エンジンを止めブリードボルトをゆるめて冷却水があふれてくるか確認
  • ・あふれてこない場合はエア抜きが不十分なので最初から繰返す
  • ・エアが抜けたらキャップを仮締し約1500rpm位でラジエターファンが2回作動するまで暖機する
  • ・エンジンを止め再度アッパタンク上部・リザーブタンクMAXまで冷却水補充
  • ・再度エンジンをかけ約1500rpmで液面が下がらないことを確認しラジエターキャップを取付る

と簡単そうに記載して有りますが、実際に作業してみると意外と大変です。

ステアリングラックをかわすためロアホースの形状が無理やりって感じが…

アクティラジエターホースの位置

画像の3か所の矢印がロアホースの位置関係を示しています

ホースの入口・出口よりも中間部の位置が高くエアーが溜まりやすい形状です

旧型アクティとはステアリング部の形状が大きく異なるため、ステアリングラックを避けるために強引な設計になっているような印象です。

ロアホース中間部分にエアが残りそうな形状なのでホース中間部を手で引張り下げてエア抜きを行ないました、これが新規格になってからエア抜きが難しくなった原因の1つかな?

水温計が付いていないのも不便に感じますね、高水温ランプが点灯した時には既にヘッドガスケットが抜けてたりしないのかな〜 水温計が付いていれば普段より水温が高ければ気になって点検するのに…

それと常にエアコンを作動させて乗ってる人は、ラジエターファンモーターを点検した方が良いかも? モーターは回転した分だけ必ずブラシが磨耗してますから、ブラシの摩耗でファンが回ってないとか…

エアコン作動中はラジエターファンモーターも回転しますので簡単に確認出来ます。

回転しない場合はもちろんですが、時々回転しない・少し振動を加えると回りだす、と言う場合も早めに交換をした方が良いです、モーター不良に気付かずオーバーヒートという可能性も有りますので…

モーター良否は単純に走行距離のみでは判断できません、水温が設定温度以上になった場合とエアコン作動時は回転していますから単純に距離では言えませんからね。

【追記1】このページへのアクセスが増加傾向

エアー抜きへの問合せを頂く事も有りますし、知り合いでも同様のトラブルを耳にします、どうもタイミングベルトと同時にウォーターポンプ交換し、その後トラブルというパターンが多いような気がしますが皆さんいかがでしょうか?

アクティは冬場外気温が低い時はなかなかサーモスタットが開かないようです、 フロントバンパー下側からラジエターロアホースを触ると分かりますがアイドリング程度では余程長時間動かしていないとほとんど開かない感じです。

エアが噛んでいても水温自体が上がらずヒートランプが点灯するまでには至らないから、エアは抜けたと思って納車される事が有るのかも知れません、冬場にウォーターポンプ交換された場合は真夏になって気温上昇すると症状が酷くなりヒートランプ点灯というケースが増えるかも。

整備して数ヶ月経過していると整備補償は難しいかな…と言う事は真夏に交換した方が良いかも。

トラブルになったのを数台見ましたが、ラジエター口から水が吹き出すほどガスケットが 抜けている訳ではなく、微妙なガスケット抜けで少しずつエアが混入して水温上昇時リザーブの水位が上がったのが冷えても下がらない(エア混入で引き戻せない) ラジエターキャップを開けると水位が下がっている、水が流れる音が聞こえる、取り合えず乗れるけど気温が上がるとヒートランプが点灯する、と言う感じでした。

このページを読んでいる方の中には、自分でタイミングベルト・ウォーターポンプ交換を行いたいと言うDIYスピリッツに溢れる方も居られるかと思いますが、痛〜い、しっぺ返しを食らうかもしれませんので、十分に下調べ・学習してからにしてくださいね。

【追記2】初期モデルが10年経過しラブル車輌が増えてきたのか更にページへのアクセス増加傾向

現行のアクティの冷却水には5年交換不要のスーパーLLCが使用してあるのを見習って、LLC交換時には交換サイクルを伸ばせるスーパーLLCを利用した方が良いと思います。

希釈不要のスーパーLLCが多いですが、希釈タイプのLLCは水道水ではなく精製水で薄めて使用します。

部品交換をともなわずクーラント交換のみの場合は、負圧を利用してエアーを噛ませずLLC交換できる専用工具、クーラントチェンジャー を持っている工場に頼んだ方が安心かと思います。

自分でヘッドOHやウォーターポンプ交換などを行う場合は整備書通りにエアー抜き作業しても 上手くエアーが抜けないと思います、文章で説明する事はは難しいですが冷却水の通路全体の位置を把握して観察するとエアーが溜まりそうな場所がなんとなく分かってくるはずです、分岐点遮断・水圧等を利用するとエアーが抜きやすいと思います。

【追記3】更にアクセスが増加傾向、お困りの方が多いようなのでさらに点検方法などを追記

最近ラジエター液を交換するような作業していないのに、運転席足もと付近からジョロジョロと音が聞こえたり、ラジエターリザーブタンクの水位が上がったまま下がらずラジエターキャップを外して見ると口元よりも 水面が下がっている。

という場合は、ヘッドガスケットが微妙に抜けていて冷却水路内に空気が入ってきている可能性が高いです、酷くなってくるとキャップを開けてクーラントの匂いを嗅ぐとガスっぽい匂いがしたりします。

冷却水路内へのガス漏れを検査するには専用のテスターを使用します、最近は以前と比べると随分安くで販売しているメーカーもありますが、1回テストするためだけに購入には踏み切れないという人も多いでしょうね。

クーラントテスター

私は専用試薬をシリンジに入れてテストしています。

ようは冷却水路内のガスと反応させるとよい訳ですから、CO2に反応する試薬があればテストできます。

専用工具が無いのでそれなりのコツと工夫は必要ですが…

CO2に反応する試薬

ラジエターキャップを外してからクーラントを吸い込まないように水面をある程度下げてからキャップ口にゴム板を密着させてシリンジにラジエター内の空気を吸い込みます。

ガス漏れしている場合はこのように色が変化します。

つい最近ラジエター液交換をともなう作業をしたら足もとから音が聞こえるようになったという場合は エアー抜きが不十分な場合も有りますのでまずはしっかりとエア抜きを行って見ましょう。

エア抜きがし難い上に水温計が無いのでエアーが抜けたのか判断出来ずにに困っている人も いるのではないでしょうか?

水温赤ランプは点灯しないしラジエター水面も変化無いようだからOKという感じで終了する人も居るかも知れませんがアクティ・バモス系のエア抜きは それほど簡単では有りません。

実際エアーが残っていてラジエター水面が下がっているのにヒートランプも点灯しないで普通に乗れたりする場合が有るので発見が遅れるケースが有りますからね。

なにか良い方法ないの?と思ったアナタ…じつは結構わかりやすい方法が有るんですよ。

ヒーターコアをサウンドスコープで確認

サウンドスコープ という特殊工具を使って車を停めた状態でエンジンを始動してからヒーターコアのパイプ部分の音を聞いてみるとエアが噛んでいないときは静で(静といっても水の移動音はしますので無音ではないですよ)エアが噛んでいるとジョロジョロ〜と音が聞こえます。

アクセルを一瞬煽って回転を上げるとウォーターポンプの回転数が上がってからワンテンポ遅れてジョロ〜ジョロ〜と激しい音が聞こえてきます、ヘッドガスケットがわずかに抜けているとエア抜きをした時は静かなのに徐々にエアが噛んできて音も徐々に大きくなっていくのも確認できました。

サウンドスコープが無いときは長いドライバーを耳に当てて音を聞いたりしていましたが、 最近は安くで販売してあるので持っているとベアリング等の異音診断にも使えるので便利だと思いますよ。

車を動かしながら足回りなどの調べ難い異音を診断する異音診断機というのも持っていますから、そのうち工具ページで紹介しようかと考えています。

タイミングベルト交換と同時にウォーターポンプ交換というケースが増えてきているでしょうから、整備に出す前にサウンドスコープで音をチェックしておいて、整備後の音と比べて見ると良いかもしれませんね。

これだけ水廻りのトラブルが多いと、出来るだけラジエター液の入れ替えをしなくて済むようにウォータポンプ・サーモスタット・ラジエターキャップはセットで交換して長寿命クーラントを使用するのがベストでしょうね。

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