矢印部分が冷却水漏れ箇所です。
シャフトのシールが悪くなって水を止め切れなくなると、穴から水が出てきます。
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35年位前の2ストロークエンジンの軽自動車スズキフロンテです、360ccの軽自動車なんて知らないよ〜と言う人も多いかと思いますが、旧車好きの間ではフロンテクーペ・フロンテハッチ・コークボトルフロンテなど根強い人気のシリーズです。
ウォーターポンプから水漏れしていますので修理して見たいと思います、ウォーターポンプ交換ではなくて修理です。
最近はウォーターポンプ内部のリペアパーツが部品販売されている車種もほとんど無いでしょうから、タイミングベルト交換時にウォーターポンプAssyも一緒に交換する事が多くて分解修理する事は無いと思いますので、分解した事がなかったり内部構造を知らない車屋さんも多いかも知れませんね。
旧車レストアで部品が無くて困っている人の参考になるかと思いますので紹介してみることにします。
矢印部分が冷却水漏れ箇所です。
シャフトのシールが悪くなって水を止め切れなくなると、穴から水が出てきます。
分解前に各部の位置関係を測定してメモして置きます。
インペラとケースのクリアランスも忘れないように。
フロント側プーリーから分解していきます。
鉄板の廃材に穴を開けてプーリーに固定します。
鉄板を固定して中心部のボルトを締め込むとプーリーが外れてきます。
鉄板が薄いと曲がってしまいますので、厚みがある鉄板を使用した方が良いです。
次に、油圧プレス を使用してベアリングシャフトを抜いていきます。
以前はボトルジャッキを利用してプレスを自作する人もいましたが、最近では小型の安いプレスが販売されていますから持っていると作業の幅が広がりますよ。
油圧プレスは思った以上に簡単に力が加わりますので慎重に作業しましょう。
固着が酷いのを無理して押すとウォーターポンプのアルミケースは簡単に破損しますので注意して下さい。
こちらがウォーターポンプに使用されるメカニカルシールです、初めて見る人も多いのでは?
車によく使用されているオイルシールとはまったく形状が異なりますね、矢印部分のパーツにヒビがたくさん入っています。
メカニカルシールとは:日本工業規格では「メカニカルシールの基本構造は、シール面の摩耗に従い、 ばねなどによって軸方向に動くことができるシールリング、および動かない メイティングリングからなり、軸にほぼ垂直な相対的に回転するシール端面において 流体の漏れを制限する働きを持つものとする」と定義されています。
メカニカルシールは個人での入手は困難なので、ドナーとなる他車種のウォーターポンプを用意してメカニカルシールを取外して移植します。
出来るだけ年式が新しい車から流用しますが分解してみないとシールのサイズが分からないのが難点。
取りあえず、スズキの軽自動車のウォーターポンプを持ってきてサクッと分解完了
メカニカルシールを比べて見ます。
上下の部品で1セット、右側がフロンテから外した部品。
上の部品はホボ同じ寸法でそのまま流用出来そうですが、下の部品の外径がドナーの方が1mm大きいのでそのままでは流用できません。
そこで、ベルトサンダーという工具を利用して外径を小さく削ります。
少しずつ慎重に削って無事装着できました。
本体ケースのアルミが汚れていますので サンドブラスター で綺麗にします。
私は大型ブラスターを自作していますが、小さなものなら結構安くで販売されてますからレストア作業する人は持ってると便利ですよ。
ご覧の通り綺麗になりました。
サンドブラスターについては、工具日誌のページで解説しています。
あとは逆手順で分解前に測定した位置になるように油圧プレスを使用して組み付けます。
無事に完成しました。
車輌に組み付けて水漏れが無い事を確認して終了です。
ウォーターポンプ修理を車屋さんに頼んでも断られる可能性が高いと思いますが、こういう方法で解決できる場合もありますので旧車で部品が無くて困っている人も諦めないで頑張って欲しいですね。